笹部博司の演劇・舞台製作会社

白石加代子「百物語」 アンコール公演第四弾

岩波ホール発

口の中に広がる何とも言えない美味な味、
「百物語」には笑いも涙も、苦味も洒落っ気も、
いろんな味わいがすべて揃っている
今回はそんなグルメな二皿

宮部みゆき
小袖の手
朱川湊人
栞の恋
構成・演出
鴨下信一
出演
白石加代子

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  1. 宮部みゆき「小袖の手」

    宮部みゆきさんは、舞台を見終わって、「この作品はわたしが書いたものなのに、その後一体どうなるのかとハラハラドキドキしながら、見てしまいました」とコメントなさっていた。
    娘が古着を格安で買い求めてくる。母親はいきなり、その古着をバラバラにする。いぶかしがる娘に母親は、着物に取り付かれた男の話をする。一皿目は、宮部みゆきの恐怖とユーモアとが絶妙に味付けされた人情怪談をご賞味ください。

  2. 朱川湊人「栞の恋(かたみ歌より)」

    「花まんま」で直木賞を受賞した朱川湊人の受賞第一作として、「かたみ歌」という七つの短編からなる作品集が発表された。「栞の恋」はその中の一本である。テレビで「世にも奇妙な物語」という形でドラマ化された。
    一冊の本に挟まれた栞がとりもつ不思議で切ない恋物語。
    お互いの顔も知らぬまま想いだけが募る淡く切ない恋の行方は…
    この怪談は、一つの栞が昭和40年と19年前を行ったり来たりするところにあります。
    白石加代子の現在から、純情な二十歳の乙女へと思い出の時間に入って行き、不思議な恋の時間を生きる。笑って、泣けて、特上の美味な話である。

原作者からのコメント

  1. 妖しく、愛しい袖 宮部みゆき

    このシリーズで取り上げていただいた拙作「小袖の手」は、私がまだ作家として駆け出しのころの作品です。初演の際、客席であやうく涙しそうになりました。それほど嬉しかったし、深く感動しました。

    数百人の観客を前に、舞台で語る白石さんは、たった一人です。でも本当は、白石さんの後ろに大勢の語り部たちがいる。遙か古の時代から、営々と怪談を語り継いできた人びとの魂がついているのです。そのなかには、江戸の闇、江戸の怪異を語っていた人びとの魂もありました。私が作品のネタにした着物の袖よりも、舞台の上の白石さんの着物の袖の方が、はるかに豊穣で神秘的な幻想と怪異を隠していました。語りながら白石さんが袖をひるがえすと、その断片がひらり、はらりとこぼれ落ちるのが見えました。

    私が江戸怪談に魅入られ、憑かれたように書き続けるようになった理由を、察していただけるでしょう。駆け出しの身で、こんな贅沢で劇的な体験をしてしまった以上、もう逃げられません。

    というわけで、白石さんには責任をとっていただきたく――私は今日も、 「また舞台で読んでもらえるといいなと思いつつ、江戸怪談を書くのです」

    白石加代子「百物語」シリーズ第二十九夜「お文の影」「ばんば憑き」パンフレット原稿より転載

  2. ミラーボールのような百面体 朱川湊人

    私にとって白石加代子さんは、長い間、“怖い人”であった。

    その演技に初めて接したのは金田一耕助シリーズの映画だったが、当時は中高生だったので、「何だか映ってるだけで、迫力がある人だなぁ」くらいの認識しか持っていなかった。しかし、その後にビデオで『女囚さそり 第41雑居房』を見て、そう感じたのは気の迷いでなかったと強く実感した。その劇中の白石さんは、まさしく迫力の塊であったからだ。本当に何かが憑りついているとしか思えない演技で、「役が憑依してしまう役者さんがいると言うけど、ちょっと憑き過ぎなのでは」と、こちらが心配になってしまうくらいだ。

    以来、白石さんを“怖い人”と思い続けてきたのであるが、言うまでもなく、それは大きな間違いである。何のことはない、単に私が演劇に疎く、舞台の上の白石さんを見る機会を持てなかっただけのことだ。

    拙作の『栞の恋』を百物語の演目に選んでいただき、その舞台を拝見した際に私はそれを思い知り、己の考えの浅さを恥ずかしく思った。その時に感じた通りに言えば、白石さんの舞台は、“ちょっとばかり何かに憑かれたくらいで、できるものではない”ということだ。もしかすると白石さんの中に何十通りもの白石さんがいるか、あるいはミラーボールのような百面体の心を持っているのかもしれない――そう考えることで私は自分を納得させたが、その時から白石さんは、もう“怖い人”ではなくなってしまった。

    是非みなさんにも、おちゃめで可愛くて、黒目がちでおさげが似合う白石さんをご覧いただきたい。

まるで、愛を失ったかのような想いに急激に襲われたの

1992年6月岩波ホール発で始まり、2014年秋、泉鏡花「天守物語」をもって「百物語」、全99話を語り終えた白石加代子はこのように語った。
当初は「肩の荷がおりて、すっきりした」と晴れやかな表情だったのですが、時を経て次第に、<まるで、愛を失ったかのよう (本人談)>な想いに急激に襲われたと話してくれました。
あまりにも自分にとって大きな存在だった「百物語」。ファイナルを終えて、忙しい仕事の合間を見つけ、アンコール公演・第一弾として、筒井康隆「五郎八航空」、南條範夫「燈台鬼」、第二弾として、三遊亭円朝「怪談牡丹灯籠」、第三弾として、夢枕獏「ちょうちんが割れた話」筒井康隆「如菩薩団」半村良「箪笥」和田誠「おさる日記」、そして今回のグルメな二皿は第四弾となる。

舞台は演者白石加代子だけ、ニューヨークの公演では、「人物の変化とともに、語りのイントネーションも、表情も、姿形までもが変化する。千変万化の白石加代子にとって視覚上の限界はない。迷信深い母親も、権威的な父親も、いともたやすく、よどみなく演じ分ける。年齢すら問題ではない。この五十代の女優は、赤ん坊でも死にかけた男でも、何の苦もなく生き生きと描き出すのだ」と評され、ワン・ウーマンショー、たった一人のエンターテイメントと絶賛されました。

白石加代子よりコメント

白石加代子よりメッセージ

99話を語り終え、ホッとして肩の荷を下ろして数年、ある日、ふと本箱の百物語の台本に目を止めました。引き込まれるように読みはじめると、いろんなことが思いだされて、とても懐かしく、また出会いたいと思いました。そうして始めたアンコール公演、今回はその第四弾です。

「あと何本語れるのだろうか」100歳までというのは、いくらなんでも無理ですよね。それこそ怪談です。でも皆様の応援と支えがあれば、まだもう少しは語り続けられると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

「百物語」について

白石加代子「百物語」シリーズは、明治から現代の日本の作家の小説を中心に、「恐怖」というキーワードで選び、それを白石加代子が朗読するという形で出発した。

上田秋成「雨月物語」、泉鏡花「高野聖」、坂口安吾「桜の森の満開の下」、江戸川乱歩「押絵と旅する男」、という幻想文学の傑作作品から、半村良「箪笥」、筒井康隆「五郎八航空」、阿刀田高「干魚と漏電」、高橋克彦「遠い記憶」、宮部みゆき「小袖の手」、小池真理子「ミミ」といった現代作家の人気作品までの幅広いレパートリーと白石加代子の朗読という枠を超えた立体的な語りと動きの上演で人気を博している。

キャスト・スタッフ

原作
  1. 宮部みゆき「小袖の手」
  2. 朱川湊人「栞の恋(かたみ歌より)」
構成・演出
鴨下信一
出演
白石加代子
プロデューサー
笹部博司
企画・製作
メジャーリーグ

ツアースケジュール

埼玉(越谷)
サンシティホール(小ホール)
越谷コミュニティセンター
048-985-1112
東京(曳舟)
曳舟文化センター
曳舟文化センター
03-3616-3951
神奈川
相模原南市民ホール
相模原南市民ホール
042-749-2110
岡山
勝央文化ホール
(公財)美作学術文化振興財団
0868-38-0270
兵庫
加東市地域交流センター
公財)加東文化振興財団
0795-42-7700
茨城
水戸芸術館ACM劇場
水戸芸術館ACM劇場
029-227-8123
山口
山口県立劇場 ルネッサながと
山口県立劇場 ルネッサながと
0837-26-6001
栃木
大正堂くろいそみるひぃホール 大ホール
(那須塩原市黒磯文化会館)
大正堂くろいそみるひぃホール
0287-63-3219
東京(北千住)
シアター1010
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パルテノン多摩小ホール
パルテノン多摩
042-376-8181
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秩父宮記念市民会館
0494-24-6000
北海道(札幌)
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011-596-7511
北海道(音更)
音更町文化センター ふれあいホール(小ホール)
音更町文化センター
0155-31-5215
北海道(七飯)
七飯町文化センター パイオニアホール
七飯町文化協会
0138-66-2068
兵庫
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
芸術文化センターチケットオフィス
0798-68-0255

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府中の森芸術劇場 ふるさとホール
チケットふちゅう
042-333-9999

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山梨
東京エレクトロン韮崎文化ホール・大
東京エレクトロン韮崎文化ホール
0551-20-1155

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亀戸文化センター カメリアホール
江東区亀戸文化センター
03-5626-2121
愛知
長久手市文化の家 森のホール
長久手市文化の家
0561-61-3411
新潟
新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)・劇場
りゅーとぴあチケット専用ダイヤル
025-224-5521

メディア掲載

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